私の最低な元カレ
たしかに、座ってるの。
たしかに、私の目に映ってるの。
黒いキャップを被って、ラフな格好でベンチに足を広げて座ってる、天野君。
「やっぱり!天野だ。おーい!天――…」
「唯子…っ!」
天然な唯子は、普通にベンチに座ってる天野君に声をかける。
止めようとした私だけど、時すでに遅し…。
「あっ…夢!ごめ――…」
「横山ー…?」
呼んでほしくない私に気付いた唯子は、すぐに謝るけど、
唯子の言葉を遮る、天野君の声が、私の耳に入った。
そして、ベンチから立ち上がった天野君の足音が近付く。
「やっぱりー!横山じゃん?」
「あ、あぁ、うん…久しぶりだねー…あはは…」
来た…。
「なになにー?なんでここに居んの?てかお前、昔と変わらねーな」
完全に、下を向いてしまってる私に気を使って、
「本当に久しぶりだよねー…えっと…向こうでもう一人待ち合わせしてるから私ら――…」
この場から去ろうとする唯子だけど…
「あれ?お前…」
来ちゃった……。