私の最低な元カレ
さっきまで、唯子の前を歩いていた私は、足をとめた。
それと同時に、唯子の足も止まる。
「どうしたの?」
心配してくれたのか、唯子の声のトーンが低くなる。
「私ね。―――――天野君を、抱きしめたいって思っちゃった。すごく、純粋に」
天野君はサッカー場を、ただ…
ただ、ただ見つめることしか出来なかった。
きっと、自分も走りたかっただろうに。
ボールを、蹴りたかっただろうに。
一度サッカーを捨てた自分を、引きずってた。
そんな天野君を、すごく抱きしめてあげたいって思ったんだ。
いくら最低でも、女たらしでも、
私はもう、天野君の良さを知ってしまっているから―――…