私の最低な元カレ
「本当、懲りない女だよねぇ~。あ、もちろん恋愛感情は抜きだけど!!」
私は唯子の腕を離して、一人、先に歩き始める。
すると、後ろで唯子は言った。
「別に良いんじゃない?抱きしめたいって思っても」
いつにもなく、真剣な声で話す唯子。
思わず、足を止めて振りかえってしまった。
「唯子…?」
「前にも言ったと思うけど、過去は過去だよ。今じゃない―――」
「――過去に何かあるから“諦める”なんてこと、しなくて良いんだよ。過去があるから、今があるしね―――」
「――“最低、最低”なんて言ってるけどさ、たしかに、天野を好きになったんでしょう?それは、天野の良さがあるからじゃないの?嫌な思い出ばかりじゃなかったでしょ?よく考えてよ、夢」
天野君の良さ。
私は知ってた。
サッカーがすごく大好きなこと。
真っ直ぐなところ。
努力家なところ。
じゃあ、どうして私に、あんなフリ方したの…?