私の最低な元カレ


「藤原」


保健室を出ようとしたその時。
私は天野君の声に足を止めた。



「俺が…
お前をフッた本当の理由を言えば、また付き合ってくれるか?」



え……?



私は振り返りもせず、
ただ、その場に立っていた。




「…本当の理由って…なに?」




私は天野君の質問に答えず、“本当の理由”を聞いた。

我ながら、卑怯だと思った。



「俺、藤原と付き合い始めて三か月くらい経った時に、親から言われたんだよ。
“三年になったら、ばーちゃんの治療のために田舎に引っ越す”って。

そしたら、自然と藤原とは遠距離になる。……絶対無理だなって思ったんだ」



そんな…。


どうして、どうして。
勝手に無理だな。なんて思うの?




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