私の最低な元カレ
「俺…卑怯なんだよ。
自分勝手で別れて、
だけど夢が忘れられなくて…。
保健室で言ったあの話は、全部本当なんだ。
だけど、それを伝えてヨリを戻そうとした自分がなんか嫌になって
……嘘にしちまった」
天野君も私と一緒だったんだ…。
ずっとモヤモヤして。
自分が嫌になって。
「ずっと夢だけを想ってた。迷惑でも、自分勝手でも構わない。もう…我慢できねぇ」
―ギュッ
気付いたら私は天野君に抱きしめられていた。
せっけんの匂いがする。
懐かしくて、切ない匂い。
目の前にいる天野君は、“あの時”と同じ様に見えた。
『夢!』
『天野君!サッカーお疲れ様~』
『サンキュー。一緒に帰ろうぜ』
『…うんっ!!』
「…私もだよ…」
私は天野君の気持ちにこたえるように、抱きしめ返した。