私の最低な元カレ
―天野一弥side―
『…私もだよ…』
え…?
あまりの突然の言葉に俺の思考は一瞬だけ停止した。
私もだよ…?
私もって…夢も俺と同じ気持ちだったのか…?
「あ、天野くん…近いよ…」
恥ずかしそうに目をそむけながら夢が言う。
俺たちの顔の距離は数センチ。
今、この距離で夢を見つめているのは紛れもなく俺なんだ。
「天野くん…?」
離れない俺に困惑してるのか、夢はもう一度俺の名を呼ぶ。
酷い別れ方をしてから、夢は俺の名前すら呼ばなくなって、
呼んだとしても嫌々だったり、顔は必ず引きつっていた。
そんな夢が今は……
「夢も俺の事好きでいてくれたの?」
「えっ…きゅ、急にどうしたの…」
「聞いてるんだけど。違うなら違うって言って」
俺は今日でハッキリわかった。
もう夢への想いは誤魔化すことができない。