私の最低な元カレ

今まで夢への想いより自分の事を守るのに必死だった。


自分が傷つかないように嫌なことは全部避けてきた。


誰かに未練を残すことも

つっかかったりすることも


全部めんどうだと思ってた。


だから嘘だってつくし、ヘラヘラ笑う事を選んでた。

だって絶対そっちのほうが楽だから。



だけど今日、健が夢に近づくのを見て耐えられなかったんだ。

自分が傷つくことよりも恐かった。


だからもう、俺は嘘をつかない。

夢を失うことが一番つらいから――…



「天野くんは本当に勝手だよ」


さっきとは違う、落ち着いた声で話す夢。


その通りだ。

俺は本当に、最低でバカだ。



「ウソばっかついて、ひどい事しか言えなくて」

「うん…」


夢が言っていることは全部あたっている。

だからこそ何の反論もできない。


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