左薬指にシルバーリングを





それから、毎日見舞いに行った。



仕事の帰りに駆け付けて、
その度に言っていた。




「結婚して下さい」



そして、君はいつもと変わらない笑顔で決め台詞。



「……無理…ゴホッゴホッ…」




そして、咳き込む君に俺は急いで背中を撫でた。



「…ごめん、ね」


「……」



君のごめんが儚くて、
フッと消えてしまいそうで、
俺は君の後ろで泣いていた。





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