左薬指にシルバーリングを




彼女は少し驚いた顔をして俺を見た。


俺はスーツのポッケから、何度も突き返されたシルバーリングを出すと、君は瞳いっぱいに涙を溜めた。





「……はい」



俺のプロポーズに初めて君が涙を流す。


断るときはいつも笑っていたくせに……本当だったら両手を挙げて喜ぶべきこの瞬間が痛いくらいに切なくて。





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