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「いらっしゃい」
玄関で迎えてくれたのは、優しそうなおばちゃん。
「私は、この家で家政婦をしている黒木っていうの。よろしくね、ひなこちゃん。」
「あ、よろしくお願いします!!」
私は慌てて差し出された手を握った。
「この家の主人は仕事で会社の方に行っているし、息子さんはまだ学校から帰ってきてないのよ」
黒木さんは、リビングに向かいながら教えてくれる。
広いお家。
でも、何故か寂しい感じがするのは私の思い込みだろうか…
「ここで、赤ちゃんが寝てるのよ」
リビングに通され、黒木さんがベビーベッドを指差す。
私は、ベビーベッドに駆け寄って赤ちゃんの顔をのぞきこむ。
すやすや…
気持ちよさそうに眠る、可愛い顔に思わずキスしたくなる。
「可愛いでしょ?」
黒木さんが、微笑みながら言った。