***



「あ、それで津田くん。何で私に声かけたの?」



私がそう言うと、津田くんはちょっと照れながら言った。



「あの、田原さんってさ、ま、ま、前野さんと仲いいよね?」



前野とは、結衣のことだ。


「うん。仲いいよ。それがどうかした?」



「あの、俺、前野さんと仲よくなりたいんだ…」



顔を赤らめながら言う津田くんに、私は気づいた。



津田くんって、結衣のこと……



「あ、じゃあ結衣も今ここに呼ぼうよ!!」



あたしはそう言うと、隣の席の女の子とお喋りをしている結衣を呼ぶ。



「ゆいー」



結衣は、お喋りをやめ、子犬のように私のもとにやってきた。



「ひなこ、なに??」



「あ、えっと、4人でお喋りしない?」



私がそう言うと、結衣は一瞬戸惑ったように、津田くんと大澤くんに目を遣ると、すぐに笑顔になって



「うんっ!!」



と言った。



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