君があたしを好きな理由 [短編]
あたし達は、幼なじみ。
小さい頃から、ずっと一緒にいた。
大して目立つわけでもないあたしと、女の子にモテモテの瞬。
見た目も性格も、正反対のあたし達。
だけどなぜか、今でも一緒にいる。
「おい、葉月帰るよ」
「え…あ、待ってよ瞬!」
それだけ言って、去って行く瞬の背中を追いかけ、あたしは急いで足を進めた。
瞬、歩くの速いよっ…
どんなに速く歩いても、全然追いつかない。
「ちょっ…待っ…」
バタン!!
とうとう足がもつれて、その場に倒れてしまったあたし。
「……葉月、トロい。」
座り込んだあたしに瞬は近付いて来て、そっと手を差し出した。
「……ごめん」
その手をギュッと掴んで、あたしはゆっくり立ち上がる。
瞬はあたしの手を掴んだまま、スタスタと歩き出した。