君があたしを好きな理由 [短編]
「え…瞬…?」
繋がれたままの手に気づき、あたしはその手をブンブンと振り回した。
「お前どうせ転ぶでしょ、また」
瞬はあたしの言葉に、足を止めることも振り返ることもせずに淡々と答えた。
…そりゃそうだけど。
そこまで、はっきり言わなくてもいいじゃんかあ…
プクッと頬を膨らませて、拗ねたあたしに気付いたのか、瞬は足を止めてゆっくりと振り向いた。
「…や、そういう意味じゃなくて…」
「別にいーよ。
あたしどうせドジだしバカだし……」
「…っだからそうじゃなくて…
――――…葉月?」
名前を呼んで、瞬はあたしの顔を覗き込んだ。
またいつものご機嫌取り?
「…なに?」
「なあ、俺と付き合わない?」