愛たい
水道の蛇口を思いきり捻って水を勢い良く出した。
ふいに目に入った、目の前に貼ってある、
『節水協力お願いします。』
と言う美化委員が綺麗に書いたポスターを見て見ぬフリして水を勢い良く出し続けた。
目を瞑り水の中に顔を突っ込むと鼻に水が入った。
いきなりの出来事に驚き、思わず顔を仰け反らせた。
「痛ってー」
鼻を摘まみながら、ゆっくり蛇口を捻り水を止めた。
目の前に貼ってあるポスターを再び見つめた。
節水に協力しなかったからバチが当たったのかな…。
あー、本当に嫌になる。
夏も暑さも、あの席も酸素の無さも苦しみも、こんな気持ちも
………こんな俺も。
何もかもが嫌になり、俺はただただ、その場に立ち尽くした。
廊下に鳴り響くチャイムなんて気にせずに。