愛たい
『…ハル君、嘘ついてる』
佐藤は俺を突き飛ばした腕を下ろし優しくだけど悲しい声で呟いた。
佐藤には何でも見透かされている
そんな気がした。
でも、もう結衣のことを諦めたくて
佐藤を抱き締めたくて
これだけは嘘じゃない。
『ハル君!?』
俺は無意識のままに再び佐藤を抱き締めた。
力強く…………。
再び感じる佐藤の体温。
切なくて温かくて、
自然と涙が溢れた。
そんな俺に気づいたのか佐藤は俺の背中に短い手を回した。
「諦めたいんだ、結衣のこと…。好きになりたいんだ、佐藤のこと…」