愛たい
「まあ、正しく言えば諦めたい、みたいな。てか諦める!二人の間に俺が入る隙なんか無いって前から知ってたし、気持ちも伝えたし」
俺が言葉を発してる時に聞こえた陸の声を無視して話続けた。
「ハル!」
そんな俺の名前を陸は大きな声で叫んだ。
さすがに無視出来なかった俺は陸を見る。
さっきまでの怖い顔をした陸はもう無く、でもその変わりに悲しい顔をした陸が居た。
「お前は、それで良いのか?それに彼女にも失礼だろ…」
相変わらずカッコイイ陸の言葉に、やっぱり陸には敵わないと改めて確信した。
「…俺も、そう思った。けど彼女を守りたい、って思ったんだ。好きになりたいって思った…」
その俺の言葉を聞き、陸は何も言わず俯いた。
そんな俺らにHRの予鈴がなった。
黙りこむ二人に、
「教室戻るぞ」
とだけ言い俺は屋上を去った。
これで良いんだ、
これで良かったんだ…。
これで結衣を諦められる。
後悔なんてしていない。
さようなら、俺の初恋…。