愛たい
二十一話 小さい手
また繋がれた深帆の手は、やっぱり小さくて柔らかい。
深帆の手から直接、ドキドキが伝わる。
「ま、しょうがないから今日はこのままで良いか!」
そう言うと深帆は申し訳なさそうに、かつ恥ずかしがった。
「よし、じゃあプリでも取るか!」
そう言い、深帆と手を繋ぎながら人混みを走り抜けた。
途端、俺の手から柔らかい感触が消える。
まさか、と思い後ろを振り向くとそのまさかのまさかだった。
深帆が居ない。
よく周りを見渡すと随分、俺と離れた距離まで人混みに流されていた。
どんくさいな…
と心の中で笑い人を上手く交わしながら深帆の元へと向かう。
再び手を取り一端、深帆を大通りの道外れへと連れて行った。
下を見つめ続ける深帆の顔を覗くと心なしか泣きそうな顔をしていた。
可愛い………
俺の体は感情のままに動き気づいたら深帆を抱き締めていた。