愛たい
「チワワより深帆のほうが可愛いし」
と耳元で呟くと深帆は動揺し、
『恥ずかしいよ、皆見てるっ』
と俺を引き剥がそうとする。
そんな深帆を更に強く抱き締めて、
「チワワに妬いてる深帆のほうが恥ずかしいぞ?」
と笑うとお腹を思い切り殴られ無理矢理引き剥がされる。
『行くよ!』
と歩き出した。
そんな深帆の顔は後ろから見ても分かるように耳まで真っ赤だった。
そんな深帆の背中を追い再び手を絡めた。
少し肩をビクつかせた深帆は更に顔を赤くして俺を見る。
「こうしなきゃはぐれちゃうだろ?」
と意地悪に笑うと手を繋いだまま早々と歩きだす深帆。
何か、少し意外な部分を見れた気がして嬉しかった。
穏やかなだけのイメージしかなかったけど、嫉妬とかするし怒る時は怒るし照れる時は照れる。
喜怒哀楽がしっかりしてて面白いな…。
そう思いながら深帆の背中を見つめた。