愛たい
お金を払いお店を出て近くにあるベンチに座った。
俺は自分の携帯に水色の羊をつけた。
それを少し頬を赤らめて見る深帆に、
「深帆もつけて」
と微笑んだ。
深帆は少しぎこちなく携帯を取り出し器用にピンクの羊をつけた。
深帆のピンクの羊に自分の水色の羊をくっつけた。
「お似合いだって♪」
と微笑むと深帆は顔を伏せた。
深帆の頬はピンクの羊の毛みたいな色だった。
もうあっと言う間に6時になり深帆を家まで見送った。
「今日は楽しかったな!」
と言う俺に別れを惜しんで居るのか何も言わず頷く深帆。
そして何も言わず俺を見つめた。
そんな深帆に思わず理性を奪われた。
深帆の頭を掴み顔を近づけて唇を重ねようとした。
途端、俺は弱い力で押された。
それはすぐに深帆だと言うことが分かった。
目を見開いて深帆を見ると顔を真っ赤にしている。
『ま、まだ早い気がするの!』
少し傷ついたけど俺の勝手な衝動でしてはいけないことだと思い我慢した。
だけど、
『んっ』
深帆の柔らかい頬に唇を重ねた。
「これなら、いいだろ…」
深帆はしばらく目を見開いたままだったが、しばらくして微笑み頷いた。
深帆を大切にしたい。
これからも一緒になりたい。
夕焼けの空の下で俺と深帆はしばらく見つめあったままでいた。