愛たい
「うん、まあ…」
と曖昧に答えれば更に興奮して色々なことを聞き始めた。
『誰と付き合ってるんだよ!』
『キスしたのかよ!』
など色々なとこから声が飛ぶ。
その中に交えて聞こえてきたのは、
『もう、ヤっちゃったわけ!?』
と言う言葉に自分でも信じられないくらいに怒りが込み上げてきた。
深帆との付き合いはそんなもんじゃない…。
俺は深帆を、深帆を
大切にしたい
守りたいだけなのに。
黙り込む俺に、そいつは調子に乗り、
『しちゃったのかよー!』
とからかう。
そいつに便乗して俺を囲む奴等も調子に乗り、
『童貞卒業!』
とか
『避妊したかー』
と意味の分からない言葉を並べ始めた。
「うる…」
ついに怒鳴ろうとした時、俺の声を遮る大きな音が教室に鳴り響いた。
音がした方向を見ると陸が机を倒していた。