愛たい

しばらく続く沈黙。
静かな公園に俺がゆっくりブランコを漕ぐ音だけが聞こえる。

何も言わずただ下を向く深帆にブランコの動きを止めた。

「…今朝のこと?」
と聞くと深帆は、ゆっくりと首を縦に動かした。

「結衣とは、もうただの友達だから」
と深帆を見ながら言うと深帆は、ゆっくりこっちを見て、
『本当に?』
と、ゆっくり口を開いた。

「本当」
と言うと深帆は再び顔を下に俯けてしまった。

「…どうした?」
と聞くと急に深帆が頬を濡らした。

「ちょ、えっ!?」
と慌てる俺を横に更に涙を流す深帆。

どうしたら良いのか分からず思わず深帆を抱き締めた。

それでも深帆の涙は止まらない。
何とかしようと深帆の頭を撫でると涙声交じりに声を発した。

『私っ、不安でっ…』

深帆の言葉に、ただ頷きながら深帆を抱き締める力を強めた。

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