愛たい
『もう、何も無いって分かってるのに…っ、結衣ちゃんとハルが一緒に居るの見るの辛いのっ』
何も言わずに居る俺の背中に手を回した深帆。
『結衣ちゃんに関わらないで欲しいの…』
深帆は涙声では無く、しっかりと俺に言った。
深帆の言葉に少し戸惑ったが俺は深帆の背中に回して居た腕を肩に置いた。
「…ごめん、それは出来ない」
と目を見て言うと深帆は目を逸らした。
『ごめんね、変なこと言って…。そうだよね!』
と無理に笑いを作る深帆を再び胸に抱いた。
「だけど、大切なのは深帆だから…」
更に深帆を抱く力を強めた俺の背中に深帆の手が回る。
あの時のように、俺らは強く抱き締めあった。
深帆が俺に告白をした時のように…………。
絶対、深帆を大切にする。
胸の中に残る結衣の気持ちを消し、誓った。