愛たい
これは、その、したってことだよな?
途端、俺の中で何かが込み上げた。
懐かしい感情。
あの時の悲しみも
あの時の愛しさも
全部、込み上げて俺の胸をキツく締め付けた。
目を閉じると、あの時の結衣の顔が浮かぶ。
あの顔を陸にも見せてたのかな。
陸に感じてたのかな。
あの日の光景が鮮明に頭の中に浮かぶ。
思い浮かぶのは結衣の笑う顔、悲しむ顔、怒る顔。
深帆の顔を思いだそうとしても浮かぶのは結衣の顔ばかり。
それが、さらに俺の胸を締め付けた。
「…ごめん」
その一言だけ言い俺は教室を飛び出した。
「おい、ハル!もう少しで授業始まるぞ!」
と言う陸の言葉なんか無視して無我夢中で屋上まで走る。
いきおい良く屋上のドアを開けると、懐かしく感じる光景。
深帆と付き合ってから屋上に一度も来ていないことを思いだした。