愛たい
静かな部屋で俺と深帆の息が重なる。
いざ、深帆の中に入れようとした時、俺は我に帰り行為を止めていた。
そんな俺を不思議に思った深帆は体を必死で起こし俺の顔を覗き込んだ。
「…ごめん」
思わず吐いてしまった言葉に深帆は静かに涙を流した。
「…ごめん」
再び謝る俺に深帆は泣きながら、
『謝らないで!』
と叫んだ。
深帆の言葉に謝るのを止めると部屋には恐ろしいほどの静けさが広がった。
そんな中、深帆が口を開いた。
『ハルが私のことを愛そうなんて思ってないこと気づいてた』
目を見開いて深帆を見ると深帆は涙を流しながらも真剣な目で俺を見つめた。
『口を塞がれた時、ハルがまだ結衣ちゃんを好きって直接伝わってきた…』
その言葉に俺は謝らずにはいられなかった。
「ごめん…」
と再び吐くと深帆は真っ直ぐに俺を見つめ、
『じゃあ、最後にキスして?』
と言葉を発した。
多分、これが深帆との最後のキスになるだろう。
そう思い俺は深帆に深いキスをした。