愛たい
二十六話 始まりの予感
俺は、また一人大切な人を傷つけた。
大切にする、絶対に守るから
そう言いながら
そう約束したのに
大切に出来なかった。
守れなかった。
傷つけたのは俺じゃないか。
そう酷く後悔する。
どうしてあの時、深帆が俺を拒んだ時に止めなかったのだろう。
どうして理性を保てなかったんだろう。
せめて、あの時に止めていたのなら深帆を傷つけたとしても少しで済んだかも知れない。
もし、あの時に最後までしてしまったらとことん深帆を傷つけ結衣を選ぶ権利は無かったかも知れない。
やっぱり俺は中途半端で。
「途中で止めるか一番最低だ…」
そう自分に言いいつの間にか黒に染まっていた空を見上げた。