愛たい
ズキン、ズキン…
と徐々に痛む頭。
この傷みも久しぶりで、すっかり忘れていた。
この傷みは、これから始まる切なくて叶わない恋を予感している気がした。
楽しそうに話す陸
楽しそうに笑う結衣
そんな二人の中に入る隙はない。
それはもうずっと前から知っている。
なのに傷みは止まなくて、止むどころか痛さを増す一方だった。
ズキン!
「っ、」
と、いきなり走った余りの衝撃に思わず声を発した。
頭を抱えながら痛さを我慢する俺に気づき陸と結衣が俺の元に駆け寄る。
クラスメイトも一斉に俺に視線を集めた。
「大丈夫か!?」
陸の声が頭に響く。
大丈夫じゃないけど無理に笑顔を作り、
「大丈夫、大丈夫」
と陸と結衣を落ち着かせたかった。