愛たい

『あははっ』

甲高い笑い声が頭の中で巡った。

ちょうど初夏を向かえた6月の事。

衣替えも終わり周りの奴らは袖を長袖から半袖に変えて少し汗を流していた。

暑いのに、滅法弱い俺は仕方なく自慢の髪を切った。

『あ、ハルー?髪凄い切ったねーっ』

と良い笑いながら俺に駆け寄ったお前。

『暑いから切っちゃったっ』

と言えばお前は俺のスポーツ狩りになった頭を触り、ジョリジョリと撫でながら、

『似合う、似合う♪』

って眩しいくらいの顔で笑ったな。

そんなお前に照れた俺はぱっと顔を反らし、

寂しい印象になった頭を擦りながら、

『爽やかデビュー成功♪』

とふざけた。

そんなお前を俺は、

『えー、何それっ』

と馬鹿にしたように、だけど嫌味などと感じさせないくらい柔らかな声で言った………。

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