愛たい
三話 切ない屋上
『ミーンミーンミーン』
と蝉のうるさくて切ない声が俺の思い出を遮った。
目を開けるとオレンジレンシャーベットはどろどろに溶けていて、俺の手を濡らした。
ボトッ
と言う音をたてて、ついにオレンジシャーベットは地面に落ちた。
そんな甘い匂いを嗅ぎ付けた蟻達は俺が落としたオレンジシャーベットに群がった。
儚い………。
甘くて優しくて愛しくて。
だけどそんな思いは、
最後には、
儚く『消える』。
恋は儚い。
絶対に皆が皆、恋を叶えさせるとは限らない。
一億人居る人口の中で、片想いが両思いに変わる奴は何人居るのだろう。
何故か、俺の視界が掠れた。