愛たい
『っ、』
俺の目からとうとう溢れだしたそれは、俺の頬を濡らし、
ポトッ
と言う切ない音をたててオレンジシャーベットが落ちているところに落ちた。
何だよ、これ…。
自分でも良く分からなかった。
泣いているのか。
拭っても拭っても止まらない涙。
『っ、うっ、』
こんなに辛い思いをするのなら恋なんてしなければ良かったんだ…。
俺は一生、
『初恋』
を経験しないまま呑気に暮らしていれば良かったんだ。
こんなに儚いのならば、恋なんて絶対にしなかったのに。
そんな俺に、
結衣の笑顔が頭に浮かんだ。
恋なんてしなければ良かった?
馬鹿か、俺。
結衣を好きになって、辛いことだけじゃなかったはずじゃないか。
凄く好きで、好きで堪らなかった。
幸せな日々も沢山、あった。
なのに、俺は………。