愛たい

ズボンのポケットに手を突っ込めるのは陸の癖。

チャリチャリと小銭の音を鳴らし陸は俺に近寄った。

わけではなく自販機の前に立った。

「何してたんだよ、午前中」

いきなり痛いとこ突く陸。

「んま、色々?」

と曖昧に答えれば陸は、いつもに増して真面目になり、

「お前、ヤバイぞ」

と先生みたいなことを言った。

「まだ一年だから良いけど、いつまでもこの調子で居るとマジでヤバイぞ」

陸にまで言われるって本当にヤバイんだな俺。

そう思いながら俺は葡萄ジュースを一口飲んだ。

「まあ、何とかなるっしょ!」

そう俺らしく言えば、陸は俺に蹴りを入れ、

「甘いんだよ、お前は」

と良いお茶を片手にスタスタと歩き出した。

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