愛たい
美味しそうにスイカパンを食べる俺を見て、陸が眉間に皺を寄せている。
「食う?」
そう言うと陸はマジで嫌そうに、
「いらない」
と言った。
「つか陸、おにぎりだけで足りるのかよ」
「足りる」
「ふーん」
…今、気づいた。
葡萄ジュースとスイカパンって最高に合わない。
俺も眉間に皺を寄せた。
『あ、陸とハルッ』
まるで、“ついで”みたいに呼ばれた俺の名前が聞こえたほうを向くと、メロンパンを持って走ってくる結衣が居た。
俺は思わず結衣から顔を背けてスイカパンにがっついた。
『ここ、座るね』
そう良い、結衣は陸の隣に座った。
…駄目だ、やっぱり叶わない。