愛たい

何もキッカケは無かった。

たまたま同じクラスになり俺がしつこく陸に付きまとっただけ。

そんなことをしているうちに陸と俺は、

『心友』

と言われる関係になった。

陸は俺には、勿体ないくらいの友達で俺とは大違いだった。

ガキで、顔も普通で、バカで、ちょっと運動出来る中より下の人間。

まさに俺と陸は正反対だった。



だから………。

あの話しを聞いた時は、

『絶望』

と言う言葉しか思い浮かばなかった。


『ハル!聞いて、聞いて!』

やけに嬉しそうに俺に話しかける結衣。

何?と耳を傾ければ、

『私ね、陸と付き合うことにしたんだ♪』

と耳を疑う信じたくない言葉。

俺の視界は、真っ暗になった。

その時、俺は………、

『絶望』

を感じたんだ。

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