愛たい
「ハル、起きてるか?」
その声は、廊下にいる奴のせいで良く聞こえない。
俺は目を瞑った。
陸を今は見れない。
シャッ、
と陸がカーテンを勢い良く開けた。
そして俺の布団を一気に捲る。
「…何だ、寝てるのか」
そう言うと陸は剥ぎ取った布団を俺に被せ、カーテンをゆっくり閉めて保健室を後にした。
陸が悪い奴だったら嫌いになれるのに。
陸が悪い奴だったら憎めるのに。
…やっぱり、陸は完璧すぎる。
だから俺は陸が大好きで憎めなくて。
いつか、俺が陸を妬む日が来るんじゃないか。
そんな予感に不安を覚えた。