愛たい
「だけどさ、お前が俺に相談してくれた時、俺、安心した。勝手にハルも俺の事、冷たい奴って思ってるんだろうななんて勝手な被害妄想してた。だけどハルは心から俺を信頼してくれてた。もしかしたら結衣も、ってわずかな期待にかけて気持ちを伝えたんだ」
もう教室には俺らしか居なくて。
陸の信じたく無い事実が宙に浮かんだ。
…俺が、陸の背中を押した、ってこと?
「だから、ハルもそいつに気持ち伝えろよ。好きなんだろ?その気持ち伝えなかったら後悔する」
陸の言ってる言葉正しいのに。
俺は、いつの間にか陸の机を叩いていた。
「陸に、陸に俺の気持ちなんか分からねえよ!もう、とっくに後悔してんだよ!俺とは違って完璧な奴何かに俺の、俺の気持ち何か分からねえよ!知ったような口、叩くなよ!」
全てを吐き出した時には、もう遅かった。
俺の目には切ない目をした陸が入った。
俺は耐えきれなくて廊下に飛び出した。
『…ハル?』
やっぱり偶然は残酷で。
俺に結衣の姿を見せる。
『…どうしたの?怖い顔して…』
多分、俺は自分が思う以上に怖い顔をしていたのだろう。
「何もねえよ」
と冷たく結衣に言って俺は歩き出した。