愛たい
俺に謝る隙を与えずに姿を消したのだ、陸は。
…悪いのは俺だって分かってる、自分でも。
だけどあからさまにあんな態度取らなくたっていいじゃないか。
誰にもぶつけようの無い苛立ちともどかしさが俺の中で交互する。
俺は頭を冷やそうと屋上の自販機へと向かった。
朝っぱらから屋上へ向かう奴なんてほとんど居なく、朝の自販機は品揃えが良い。
俺はお金を入れオレンジジュースのボタンを押した。
自販機からオレンジジュースを取るとそれはすぐ俺の体温を覚ました。
俺は日陰に入りオレンジジュースを、ゆっくり開けた。
と、同時に扉が開く音がした。
誰だ、こんな朝から屋上にくる奴は。
と気になり扉がある方向を見れば、
見慣れた男女の後ろ姿。
陸と結衣だ………。