愛たい

二人が一緒に居る姿を見たくない。

なんて心で思いながらも陸と結衣の姿をしっかりと捉えてしまう俺が憎い。

二人は何か話しているようだったけど俺の位置からは聞こえない。

でも表情で二人が何を話しているかは、すぐに分かった。

結衣の泣きそうな顔と、

陸の怒っている顔。

………俺の話しだ。

やっぱり、陸は怒っているのか。

なんて思っていると見たくもなかった光景が目に入った。

結衣と陸が抱きついている姿。

最初は陸だけが結衣の背中に腕を回していたが結衣が、ゆっくりと陸の背中に手を回した。

「っ、」

ズキン、とまた痛む俺の胸。

目を逸らしたかった。

けど目を逸らすな、

現実を見ろ。

そう俺の体が言ってるようで目を逸らせなかった。

< 47 / 165 >

この作品をシェア

pagetop