愛たい
止めて…………。
行かないで………?
お願いだから………。
声にならない叫びを
別々の方向に歩く二人に向かって叫んだ。
だけど二人は止まらなくて。
だから手を伸ばした。
それでも届かなくて…。
「ハル、ハル!」
『はる、はる!』
と異なる声が俺の名前を読んだ。
その言葉に反応して目を開けると目の前には見慣れた二つの顔と保健室の天井。
あ…、俺、倒れたんだっけ。
と倒れていた体を起こすと頭部に激しい傷みが走った。
まるで固い物で頭を思い切り殴られたような。
「っ、」
とあまりの痛さに頭を抑えると、
「大丈夫か!?」
と聞き慣れた声と共に肩にゴツい手が触れた。