愛たい
「結衣は、もう帰れ。水は俺が持ってくる」
と陸も立ち上がった。
すると結衣は、
『わ、分かった!』
と慌ててスカートを翻し保健室から出ていった。
陸の行動を不思議に思うと目の前に水が差し出された。
「あ、ありがと」
と小さく呟いて水を受け取った。
「…ごめん」
静かな保健室に響く陸の切ない声。
陸は謝ってるのに何故かそんな気分になれなかった。
「…陸、悪い。今、そんな気分じゃない」
と言うと陸は申し訳なさそうに、
「そっか、じゃあな」
と格好良く手を振り保健室から去った。