愛たい

九話 哀れな自分


カツンッ

と間抜け音を出し紙コップは的を外した。

情けなくてカッコ悪い。

あまりのカッコ悪さに、

「ふっ」

と息を漏らした。



何で、こんなにも胸が苦しくなって泣きたくなるんだよ。

今までだって沢山のことを我慢してきたはずなのに。

嫌われたくなくて毎日、人の顔ばっか伺って生活してきたじゃんか。

俺って、そんな奴なはずだろ?

なあ、俺。



子供の頃の思い出と言えば、悲しい思い出しかない。

よく人は悲しい記憶を記録するから悲しい記憶しか残らない悲しい生き物なんだ、とか聞くけど

俺の場合はそうじゃなくて本当に悲しい思い出しかない。

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