愛たい
行く途中で陸に合った。
思わず目が合い、すぐに逸らすと、
陸に片手を掴まれた。
オレンジジュースを落としそうになり慌てた俺に陸は冷静に、
「何で、そんなに俺を嫌うんだよ」
予想外の言葉に俺は思わず、
「嫌いじゃない!」
と叫んでしまった。
その言葉に目を見開かせた陸は、すぐに口を開き、
「じゃあ何だよ…」
と再び質問をする。
俺は陸の手を振り払い、
「何でもねぇよ」
そう言い階段を走ってかけ上った。
ドアを開けると屋上は午前中より暑さを増していた。
水分補給にオレンジジュースを加えた。
−嫌いじゃない!
思わず陸に言った言葉を思い出した。
…嫌いじゃない。
嫌いじゃないんだ、陸。
ただ、どうしたらいいか分からないんだよ…。