愛たい
くそ暑そうにしている俺の前に暑さを感じさせない爽やかで落ち着いた佇まい。
俺は虚ろな目で必死に奴を見つめた。
…いつ見ても整ってんな、コイツ。
そんな俺を横目に、
「暑いな」
と冷静に漏らす陸。
あの…、陸さん。
僕には、とても陸さんが暑がってるとは思いません…。
この暑さにやられ、何もやる気を無くした俺に陸は不満を感じたのか、
「何だ、何も言わないのか」
と不満を溢した。
仕方なく作ったうつ伏せていた体を重苦しく持ち上げて背もたれにもたれ掛かった。
「何だよ、陸さ〜ん。
普段は俺が喋る度に『ウルサイ』しか言わないくせに〜。」
と少しからかうように陸に言えば、
「本当のことだ。」
と冷たく返された。
ま、陸の言う通り何だけどな。
と納得して何も言い返すに居る俺に向けて陸は、
「今のハルと、いつもの陸を足して2で割れば丁度良いな。」
と冷たく言い放った。
「それ、もはや俺じゃねーじゃん。」