愛たい

バンッ、と良い音をたてて俺の頭を叩いたのは担任。

眠い目を擦りながら体を起こした。

『何寝てんだ!早く掃除しろ、掃除!』

どうやら五時間目どころか学校も終わったようで周りの奴らは教室から出ていった。

仕方がなく立ち上がり掃除用具の入っているロッカーに手をかけると横には、

結衣が居た。

目が合った俺らはすぐに目を逸らした。

ふと黒板を見ると日直のところには結衣の名前。

担任が出ていき俺ら二人だけになった教室には気まずい空気が流れる。



教室の隅々まで掃いていく結衣。

教室を適当に掃除する俺。

俺と結衣に微妙な距離が広がる。

そんな中、結衣が口を開いた。

『…ねえ、ハル』

ふいに呼ばれた自分の名前にドキッとしながらも冷静に、

「何だよ」

と尋ねる。

すると結衣は振り向き少し遠い距離から俺の目を真っ直ぐに見つめた。

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