愛たい

結衣はとうとう立って居られなくなったみたいで脚を小刻みに震えさせる。

そんな結衣にお構い無しに俺はキスを続けると同時に結衣の細い腰に手を回した。


…もう、周りなんて見えてなかった。





「結衣!」

聞き慣れた力強い声。

そして俺が一番、聞きたくない声が俺の耳に入った。

声が聞こえたほうを振り替えると、


そこには陸が居た。


もう、終わりだと思った。


俺が結衣から体を離した途端に力尽きたのか結衣は床に倒れるように座った。


陸が俺に近づいてくるのが凄くゆっくり感じた。

陸の拳が俺に近づいてくるのも凄くゆっくりに感じた。

なのに、どうして俺は避けなかったのだろう。

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