愛たい

今年の夏は、
俺にとっては最悪だ。

暑さに滅法弱いパグ体質な俺に30℃超える猛暑日が続くと言う地獄の日々が立ちはだかり、その上、

夏限定で、

『悪魔の席』

と呼ばれる席は俺に当たり…。


それに………。

あー、止めた止めた!

これ以上、萎えてどうすんだよ。

俺らしくねーよ!

そう心の中で弱い自分に怒り、勢い良く立ち上がり机を叩いた。

そんな俺の突然の行動にクールで有名な陸もさすがに驚いたのか少し肩をビクつかせた。

「何だよ、いきなり…」

そんな陸を横目に、

「ちょっと顔、洗ってくる」

と言い廊下に飛び出した。



あー、ムカつくムカつくムカつくムカつく

ムカつく!

そう心の中で呟きながら速歩きで水道へと向かった。

…何にムカついてんだ、俺。

ムカついてる自分が馬鹿馬鹿しくて、

ムカついてる自分が分からなくて。

水道へ行く途中にある踊り場に腰を降ろした。
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