愛たい

俺は慌てて涙を拭き取り泣くのを止めた。

さっきまで全然、止まらなかった涙も突然の出来事にすぐに止まった。

足跡がした方向を見ると曲がり角から少し見えるスカート。

結衣…?
とそんな期待を募らせたのもつかの間、

曲がり角から現れたのは同じクラスの佐藤深帆だった。
正直言ってあんまり話したことは無い。

『…ハ、ル君…?』

控えめに呼ばれた名前に笑顔を作ると佐藤は小さく歩き俺の元に向かってきた。

泣いてるのバレた?
てか佐藤は何で屋上に要るの?
泣いてるのバレたどころか元から居たとか?
佐藤はどうして俺に向かって来てるんだ?

色々な疑問が俺の頭を駆け巡る。


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