愛たい
と、少し開かれた佐藤の口から吐かれた言葉。
『…私、見ちゃったんです』
と小さく呟くように発せられた言葉を俺は一文字たりとも聞き逃さなかった。
…見ちゃった?
まさか、と思って動揺する俺に更に佐藤は決定的な言葉を吐く。
『ハ、ハル君がっ、結衣ちゃんにキスしたのっ…』
やっぱり…。
案の定の展開だった俺は佐藤の言葉にとくに反応することもなかった。
そんな俺に驚いたのか佐藤は再び目を見開き俺を見つめた。
『あれ…?怒ったりとかしないんですか…?』
とまるで拍子抜けと言った感じで俺を見つめる佐藤。
そんな佐藤をからかい、
「怒られたいの?」
と聞くと佐藤は、
『い、いえっ』
と、また顔を下に向けた。