愛たい

「ふぅーん」

と笑いながら言うと佐藤は真っ赤な顔をあげ、

『真剣に答えてるんだからハル君も真剣に聞いてください』

と言われ思わず背筋が伸びた。

『わ、私っ、ハル君がっ、す、す、す…』

と詰まりながら発せられる言葉。

佐藤の言いたいことが分からなくて少しイライラした。

「で?」

と急かすと佐藤は更に慌てて顔を真っ赤にして、衝動のままに言葉を発した。

『好きです!』


え………?

突然の言葉に言葉が出ない。

佐藤の口から吐かれた俺への気持ちは空へと消えた。


何だか分からないけど切なくて悲しくて。

その瞬間、再び佐藤が俺を抱き締めた。

俺が泣いてた時みたいに。

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