愛たい

思いもよらない佐藤の言葉。

ずっと前から知っていた…?

佐藤は俺が結衣を好きって言うのは俺が結衣にキスしてるところを見たからじゃないのか?

と疑問に感じていると佐藤が話しを続けた。

『ハル君を好きになった時から気づいてました。…だって、あまりにも分かりやすかったからっ』

と笑いながら言う佐藤。

そんなに結衣への気持ちバレバレだったかな。


『だから、諦めようって思ったけど自分の気持ち、抑えられなくて』

その言葉を聞いて俺と同じだ、と思った。

陸から結衣と付き合うことになったって聞いた時は目の前が真っ暗になった。

陸も結衣も失いたくなかったから諦めようとした。


…いや、本当は怖かっただけなのかもしれない。

結衣にフラれるのが。

陸に叶わない、って分かってたから。

そんな俺と目の前で泣きそうな顔をして語る佐藤は何だか似ている。

そう、思った。

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