愛たい
十七話 初めての彼女
俺は、思わず最低な嘘をついてしまった。
「…もう好きじゃないから」
佐藤は、
『え?』
と驚いた。
でも、それ以上に驚いていたのは自分だった。
なのに口から嘘ばっかりが出てくる。
「結衣のこと、もう吹っ切れたから…。…何か、諦めついたから…」
嘘つくなよ。
さっきだって結衣と佐藤を重ねてたじゃないか。
まだ唇には結衣とのキスの感覚が残ってるんだぞ…?
その瞬間、体を急に押された。
いつの間にか俺と佐藤の体は離れていた。
驚いて佐藤を見ると眉間に皺を寄せて俺を睨んでいた。
だけど、その顔には何処か悲しみも見られた気がした。