シーラカンスの唄
「おはよ。」
「おう。」
土曜日の朝、本当に予告通りに彼は現れた。
「どこ行くの?」
「内緒。早く乗って。」
「はーい。」
隣に乗ってシートベルトを付けると、車はご機嫌な曲を流して走り出した。
*
しばらくすると青い世界が広がっていた。
「海だぁ……。」
「うん。」
そのまま車を走らせて、着いたのは可愛い魚たちが出迎える水族館だった。
「お前がシーラカンスって五月蠅いからな。」
「シーラカンスがいるの?」
「や。いないけど。」
「なんだ…。」
「ま、いいだろ?」
そう言って翔はドンドン中へ入ってしまった。
*
「わぁ…。」
さすが水族館。
魚達は楽しそうに歌を歌っていた。
「迷子になるなよ。」
「大丈夫!」
心配する翔を追い越して、ドンドン中へ入ると"あるもの"を見つけた。